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対談企画:TUFS Cinema で世界の文化?社会の理解を深める

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TUFS Cinema」をご存知でしょうか。

東京外国語大学では、世界の諸言語による映画等の上映会?トークセッションを行う「TUFS Cinema」を不定期に開催しています。

上映会?トークセッションを通して、世界諸地域の社会?歴史?文化などの理解を深めることが「TUFS Cinema」プロジェクトの目的です。

中には、字幕翻訳から本学で手がける作品もあり、そのような作品は字幕付きでは日本で初公開となります。その他にも、過去に上映されたことはあっても、なかなか観る機会の少ない作品も上映しています。

TUFS Cinemaでは、映画上映に加え、本学教員や専門家などによるトークセッションも行っています。映像だけでは捉えきることのできなかった当該地域の歴史?文化?社会?宗教などの背景についても理解を深めることができるのが魅力です。

世界には多様な言語?文化?民族?宗教?社会があり、さまざまな「暮らし」があります。そして、多くの社会問題も存在します。それらを共有し、理解を深め、ともに考えていく機会になればと思い、開催しています。

キューバ映画上映会におけるトークセッションの様子(2017年6月開催)

2018年度のTUFS Cinemaの開催予定

今年度2018年度も、ぜひ皆さまに観ていただきたい映画を9作品(1作品は3部作)、上映予定です(2018.5.17現在)。

6月8日(金) 18:00- 日本?キューバ合作映画 『エルネスト』
トーク:阪本順治(監督)、伊高浩昭(ジャーナリスト)、松枝愛(翻訳家)
6月9日(土) 14:00- 南アジア映画特集(インド)『あるがままに』
トーク:石田英明(大東文化大学 教授)
6月21日(木) 18:00- 獣★肉食系映画(日本?山形) 『小国春熊猟2016』
トーク:林剛平(監督)、岡添桃子(本学学部学生)
10月12日(金) 18:30- アフリカ映画 『私は、幸福(フェリシテ)』
トーク:小田マサノリ(現代美術家、本学非常勤講師)、真島一郎(本学教授)
10月26日(金) 18:30- チベット映画 『草原の河』
トーク:調整中
12月金?夜で 調整中 アフリカ映画 (作品調整中)
トーク:調整中、アフリカに触れる2週間「アフリカンウィークス」企画
12月15日(土) 14:00- 日本映画(舞台:バスク地方) 『アマ?ルール 大地の人?バスク』
トーク:姫田大(洗足学園音楽大学非常勤講師)、姫田蘭(民族文化映像研究所理事)、萩尾生(本学教授)
12月22日(土) 14:00- インドネシア映画 (作品調整中)
トーク:竹下愛(本学非常勤講師)
秋?冬の 3日間で 調整中 チリ映画 『チリの闘い』(3部作) 第一部:ブルジョワジーの叛乱、第二部:クーデター、第三部:民衆の力
トーク:遠山純生(映画評論家)ほか調整中

詳細は、順次、TUFS Cinemaウェブサイトに公開していきます。

TUFS Cinemaウェブサイト
https://tufscinema.jp/

対談企画:TUFS Cinemaで世界の文化?社会の理解を深める

対談者:
真島 一郎 教授(専門分野:文化人類学、西アフリカ民族誌)
萬宮 健策 准教授(専門分野:社会言語学、ウルドゥー語)

TUFS Cinemaの魅力とは?東京外大で企画することの意義とは?これまでTUFS Cinemaで上映会を企画したことのある2人の教員に伺いました。

真島一郎先生(以下、真島) 萬宮先生は、TUFS Cinemaという名前になる前から、映画を本学で上映されていたのですよね。何かきっかけがあったのですか。

萬宮健策先生(以下、萬宮) 商業ベースでは難しいけど、上映してみたい映画がある、という話が本学にありました。巡り巡って私が担当することになったのがきっかけです。

真島 最初はどのような感じでしたか。

萬宮 当初は主に学生向けの上映会として準備を進めました。ところが蓋を開けてみると、学生だけではなく一般の方も多く訪れて、宣伝も少ない中200人くらい来場したと思います。

真島 それは驚きですね。上映作品はどのように選んでいますか。

萬宮 娯楽ではなく、メッセージ性があるもの、考えさせられるものを選んでいます。

真島 上映に至るまでの準備も大変ですよね。

萬宮 上映権を持つ現地の方との交渉、日本語字幕の制作?監修、上映用ディスクの作成、スケジュール調整、上映場所の確保、後援?協力依頼、投影機材の確認、広報など、様々な手続き?確認を行って、上映に至ります。最低半年ほど時間がかかってしまいますね。

真島 上映権の所有者との交渉は私も苦労します。このような準備を経てTUFS Cinemaが成功すると嬉しいですよね。

萬宮 はい。多くの方に、目で見て感じて、解説で理解を深めてもらえるというのが嬉しいですよね。

真島 一般の方に向けて本学は公開講座(TUFSオープンアカデミーなど)を行っていますが、TUFS Cinemaも一般の方に大変好評です。

萬宮 やはり、映像は心に残りやすいですよね。観るという点では、外語祭の語劇も名物となっています。映像は学ぶのにうってつけの教材です。

真島 アフリカの映画も、アフリカに行ったことのない方が驚きをもって観てくださっています。

萬宮 行ったことがない国に対しては、どうしても偏見や固定概念を持ちがちですが、そのような概念を覆すような体験をTUFS Cinemaではできるのだと思います。

真島 現場の生活に密着した文化人類学の調査でも、人々のちょっとした表情や息づかいまで描きだすことは容易ではありません。それらを拾い上げてくれるような映画を上映して、多くの方に観てもらいたいと思い、TUFS Cinemaを企画するようになりました。

萬宮 本学は、世界の言語?文化?社会の教育と研究を行う大学です。TUFS Cinemaは本学だからこそできた企画なのかもしれませんね。私も南アジア地域以外のTUFS Cinemaもよく観に行きます。真島先生はいかがですか。

真島 私もTUFS Cinemaをよく観に行っています。行ったことのない土地に、冒頭からいきなり自分が持っていかれるような感覚になります。人々の姿や、それを大きく取り巻く風景の描写が、ひときわ鮮烈に感じられるからでしょう。

萬宮 TUFS Cinemaは私にとっても専門以外の地域のことを知るよい機会になっています。日本語字幕が付いているのがいいですよね。

真島 そうですね。敷居が高くない開かれた上映会ですね。その上、TUFS Cinemaには、上映後に必ずその地域の専門家による解説やトークがあるので、理解が更に深まります。

萬宮 上映後の解説は大きな特徴ですよね。私も上映会のときは、必ず社会や文化の背景を話すようにしています。質疑応答も盛んに行われます。想定を超える質問があると、そのような見方があるのだと、面白く感じます。

真島 学生も企画を持ちかけるようになりました。

萬宮 長年やっていても上映に向けた準備は大変です。学生ならなおさらでしょう。この経験を通じて学生は成長します。

真島 学生も、制作サイドや配給元、非営利の上映団体などから多くの学びを得ているようですね。

萬宮 先日も監督に上映の許可をもらった、と私のところに来た学生がいました。配給会社の許可も得て、今後実現できたら嬉しいですね。

真島 企画する側が学ぶことも多いですよね。本学では入学後、最初に専攻地域の言語?文化?社会を授業で学びますが、実際に現地を見ないと分からないことが多いですよね。それが簡単にできるのも、映画の良いところだと感じます。

萬宮 ただ、上映にはそれなりの費用がかかります。

真島 全国的に大学の予算が逼迫している中、本学も例外ではありません。日本語字幕を作成する費用はどうされていますか。

萬宮 協力者の方へ一般的な翻訳料と比べてかなり安価で翻訳をお願いしています。心苦しいですが、それでさえ厳しい状況で困っています。

真島 予算のことを度外視してでも、今後、やりたいことなどはありますか。

萬宮 様々な文化や社会を多角的に伝えるために、多くの佳作を年2~3本お届けしたいと思っています。

真島 はっきりと成果が出はじめたTUFS Cinemaを、これからもぜひ発展させていきたいですね。

萬宮 日本で公開される海外の映画は商業的なものばかりで、TUFS Cinemaで上映しているような映画が公開されることがあまりありません。TUFS Cinemaが異文化理解へ踏み出すきっかけとなることを心から願っています。

真島 この対談をきっかけに、協力して発展につなげましょう!

萬宮 はい、今後もよろしくお願いします!


対談の全編はTUFS Cinemaウェブサイトでご覧いただけます。
https://tufscinema.jp/interview180509


TUFS Cinemaに関するお問い合わせ(平日9:00-17:00)

東京外国語大学 総務企画課 広報係

東京都府中市朝日町3-11-1

042-330-5150 / 5151

Email:soumu-koho[at]tufs.ac.jp([at]を@に変えて送信ください)

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